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挑戦することによって、その挑戦が将来会う誰かの背中を押せるんじゃないかな
北原さんインタビュー

美容室の店長、マネージャーの経歴をもち、アフィリエイトの世界に入ってきた北原さん。

キリンのお面をかぶった「トニー北原の酵素ダイエット」(以下:トニー北原)はご存知の方も多いのではないでしょうか?サイトも順調に運営されているなか、2015年5月に美容サロン「ディアーズ」を地元長野市で開業されました。

美容サロンへの想い、立ち上げから運営、そしてアフィリエイトサイトの運営で培ったウェブ集客についても伺いました。小雪舞い散る長野、北原さんの満面の笑顔で迎えてくれました。(インタビュアー:こばやし)


<プロフィール>北原/長野在住。美容室のマネージャーの経歴をもちながらメディアを運営。再度、夢を追いかけ、美容サロン「ディアーズ」を地元長野に開業、現在に至る。

どうして美容サロンをオープンしようと思ったのですか?

――昨年(2015年)の5月、ディアーズという美容サロンを開業されましたよね。美容室の店長を辞めた後、アフィリエイトで売上げが順調に上がっている時に、なぜそういう思いに至ったのか、というところをお伺いしたいなと。

北原:まず「トニー北原」を運営して、収益も徐々に伸びてきて、目標が金額になってきた時期があったんですよ。これはあかんなって思ったんですよね。「お金を稼ぐために生きてるの?」って思ったら、急にチャレンジしなくなったんですよね、何事にも。

よく言えば、成長の停滞期って言うんですかね。作業できるのに作業をしないで、ちょっと映画を観に行っちゃったりとか、余裕を醸し出してきたんですよね。

――それはいつぐらいのことですか?

北原:ディアーズをオープンする1年くらい前。あまりやらない、温室育ちっぽい環境になってきたんですよ(笑)。一日中遊んじゃってた、みたいな。でもアフィリエイトで収入はあるし、っていう感じになってきて。

これは腐ってるなと思ってきちゃったんですよ、自分自身に。何も挑戦してないですし。そういう状況になって、じゃあ美容室やっちゃうかって思ったんですよね。

――ふと?

北原:あともうひとつあったのが「POOL MAGAZINE(プールマガジン)」っていうブログを書かせてもらっていて。僕は美容室を運営してないのに、美容室のうんちくを書いてたんですよ。

――プールマガジンっていうのは、美容師さんが集うポータルサイトみたいな?

北原:そうですね。本当に日本や海外でも活躍されている美容師さんがたくさんいて。そういった運営の方々から、考え方とかやってきたことが面白いよね、みたいなことを言ってもらって、記事を書かせてもらっていたんですけど、だんだん書くことがなくなってきて、「美容室経営は僕だったらこうする」みたいなことを。

――理想論というか。

北原:理想だけを書いてたんですよね。これは美容室経営で汗をかいてない奴の発言だなと思ったんですよ。

――キレイ事ばかりで。

北原:キレイ事ばかり言ってるなと思った時に、ここで理想を書いてるわけだし、自分自身にも次の目標がない状態だったから、じゃあ美容室作ろうって思ったんですよ。で、物件を探しだすっていう感じですね。

――物件探しはどうだったんですか?

北原:順調でしたね。ここが見つかったのは10月(2014年)くらいですね。フェイスブックにも上げてあるので、確かそうだったと思うんですけれど。いいところ見つかったって。

――それから、開業まではどういうストーリーだったんですか?

北原:僕、自己資金を使いたくなかったんですよ。とにかく融資でやりたかったんです。なぜかというと、美容室を自己資金を使ってやった瞬間、サイトが飛んだらどうしようと思って。

だから、手元にはできる限りお金を貯めておきたいと思ったので、融資で通るならやってみよう、みたいな感じでスタートしたんですよ。

――なるほど。

北原:美容室自体も結構ネガティブに考えていて、駄目だったら半年で諦めようと思ってたんですよね。半年やってみてお客さんが来なかったら。そこの運転資金を少しでも蓄えておくために、手元のキャッシュを使いたくなかったんです。

――そうすると、いい物件が見つかって、融資先を回ったわけですね。

北原:回りましたね。法人で1期がまだ過ぎてなかったんですよ。それが結構引っかかって。法人化してなかった方が逆にいいんじゃね?っていうくらい融資にすごく時間がかかったんですよ。

――というと?

北原:早めに法人化しておくか、美容室を作って、ある程度軌道に乗ってから、法人化すればよかったかなと思ったんですよね。

――でも、当時は法人化した直後だったわけですよね。

北原:融資の担当の方から、決算書を見せてくださいって言われて。「まだ1期、終えてないです」みたいな感じで。信用問題じゃないですか、融資って。信用ゼロなわけですよ。御社の実力がわからないとか言われて。

――たしかにそうですね。

北原:「なぜ御社に毎月キャッシュが生まれてくるんですか?」っていう説明がもう・・・。

そうなると、アフィリエイトとは?というところから解説しなきゃいけないんですよね。「商品はどこから仕入れるんですか?」とか。商品は仕入れないんですって言って。「売ったらどれくらい入るんですか?」80%くらいもらえるんですって。「80%?」みたいな感じの流れで。

これはどこから説明すればいいんだろう?みたいな感じで、その説明が大変だったりとか。

――それを説明した結果、どうなったんですか?

北原:融資は通りました。気持ちが良いくらいに通りました。キャッシュフローができてるから、返せるでしょうと。美容室がうまくいかなくても返せるでしょうと。

――よかったですね。

北原:はい。融資自体の難易度は高くないんですけど、やたらと資料集めに2ヶ月3ヶ月かかりました。

――そうすると、物件も決まって、融資も決まって、そこからはどんな感じでオープンまで?

北原:内装を見てもらって、いくらかかりますかって見積もってもらって。頼みたいデザイナーさんのところにたくさん仕事が入っていて、まだもう少し時間がかかるっていうことをおっしゃられて。

じゃあ待ってようっていう感じで、それで3月くらいから、こういうものを選んでこういうふうにしましょうっていうミーティングが入っていって、4月末くらいに引き渡しをしてもらったんですよ、ここ。

――こういったサロン内のデザインにも北原さんのこだわりがあるのですか?

北原:いや、ないです。デザインに関してはプロにまかせようっていうスタンスなので。4席欲しいとか、シャンプー台は2台欲しいとか、そういう機能面だけを伝えただけで、デザインに関してはいっさい口出ししてないです。

――デザイナーさんを信頼して。

北原:そうですね。過去の作品を拝見して、どれがきても嬉しいなぁって思ったんですよ。この中に入れるくらいのサロンを作ってくれればどれがきても嬉しいですと。なので「すべておまかせします」って言ったんです。

東京の方だったのですが、わざわざこちらに来てくださって。ご実家が長野だったんですよ、その方。それもご縁だったかなと。

――引き渡しまでスムーズに行ったという感じですか?

北原:そうですね。

――あとはオープンを待つのみという。

北原:オープンはいつですか?って聞かれるのが一番困ったんですよ。お客さんがいらっしゃったら即オープンですよっていう感じだったんですね。店先は看板だけディアーズって書いてあるだけで美容室っていう感じも出さないし、閉めきってるわけじゃないですか。通りすがりの人は来ないんですよ。

だから、ホームページで集客しはじめたらオープンですよっていう感じで、電話を待ちながらアフィリエイトサイトを作ってました(笑)。

――そうすると、初めはお一人で?

北原:そうですね、一人でやってました。

――お客さんが来てくれるかな?とか不安はなかったんですか?

北原:めっちゃ不安でしたね。本当にお客さん来るかな?っていつも思っていて、そうしたら電話がプルルルって鳴ったんですよ。キターって思って、2chみたいな(笑)。「お電話ありがとうございます!」みたいな感じで。

「予約お願いできますか?」って言われて、でも少し忙しい体を装いながら、「かしこまりました」って。めっちゃ待ってたんですけど(笑)。

――それはいつですか?記念すべき日。

北原:実は4月に両親と友人を招いて、カットしたんですよね。それが記念日ですかね。練習しながらやったっていう感じですが。

――実際のお客様は?

北原:5月末くらいから、お客さんに来ていただいてますね。

――不安な気持ちを抱きつつ、順調に立ち上がったということですね。そのディアーズですが、どういった想いといいますか、どういった北原さんの想いが乗せられているんですか?

北原:ディアーズという店名が「ディア ○○」っていう部分なんですけれど。「あなたへ」っていう。「これから会うあなたへ贈るサロンです」っていう想いでオープンしたんです。なので、お客さんと美容師は1対1ですし、入れ替わり立ち替わりがないサロン。完全予約制で、2人3人という掛け持ちもしないサロンにしたんです。

あとは髪の毛を本当に綺麗にしていくサロン、という想いを込めてやっています。

――それは他の美容室とは違うものなんですか?

北原:もちろんすべてではありませんが、違うお店もあると思いますね。僕が修行させていただいた美容室では、アシスタントっていう役割があって。入社して間もない1年生は、シャンプーを担当したり、カラーを塗ったりするっていう感じでしたね。

――そういうディアーズのサービスとか想いに対して、お客様はどういった反応をされるんですか?

北原:カウンセリングから徹底してやっているんですけれど、カウンセリングで30分から1時間くらいお話するんですよ。なぜディアーズに来てくださったんですか?っていうのは当然聞くんですけど、今までの美容室でお気に召さなかったことってありますか?って。美容室って人によって好みが違うので、こういう細かいところも事前にきちんと伺いますね。

僕も昔、ミスしてしまったことがあるので、そういったところに気をつけつつ、ディアーズのサービス内容もしっかりとお伝えすると、まだ施術前なんですけど、お客様もすごく安心してくださいますね。

――なるほどですね。オープンしてからその後はどうでしたか?

北原:おかげさまで、3ヶ月でもう予約が1ヶ月待ちになったんですよ。元々スタッフを入れるつもりで4席用意してあったんですけれど。そこまではもうちょっと時間がかかるだろうなって正直思っていました。

でもお客様にも待っていただいているし、これは急がなきゃいけないなと思って、8月くらいから求人のページを作り出して。それで何人か応募してくれたんですよ。でも、ちょっと一人目のスタッフだから、即戦力になる子と良い子。良いっていうのは「お客様の喜びは私の喜びです」って、本当に感じてくれる、そんな美容師さんに入って欲しかったんです。ちょうどそのタイミングで、一人目のスタッフである、桑原という女の子が入ってくれたっていう感じですね。

――スタッフの方に対する想いのようなものもあるんですか?

北原:ディアーズっていうのは、スタッフへも「あなたのサロンです」「あなたのために作ったサロンです」っていう想いが込めてあるんですよ。

お客様にもディア○○、スタッフへもディア○○っていう想いを込めたので、お客様にもスタッフにも「あなたの居場所ですよ」って。だから今は理想の空間ができていますね。

2店舗目出店

――まだオープンしてから1年も経っていませんが、2店舗目を出店されると?

北原:スタッフを入れた瞬間、撤退ベースで考えないようにしようっていうのは思っていたんですよ。スタッフが成長する、会社が成長する。そのために、スタッフがいつもワクワクしている場を与えてあげるのが、経営者の役割だなと思っていて。

スタッフが入るんだったら、店舗展開を考えなきゃなっていうのがありました。でも、いきなり全国にっていうわけじゃなくて、普通に周りの方から頼っていただけるように、お店に入りきらないお客様が入れるスペースを作っていこうと思っているんです。だから、次に作るサロンもここからすごく近いところです。商圏を広げようとかは考えてないですね。

――2店舗目を考え始めたのはいつくらいですか?

北原:(2015年)10月くらいには物件を見てたかな、たしか。彼女(桑原さん)が入ってくれて、2、3週間後くらいにはもうお客さんがどんどん来てくださっていたんですよ。9割以上の方が次回の予約をしてくださるんですよね。

次のスタッフも応募が来だしていて。ここは4席あるんですけど、4人が回ってるところが想像できなかったんです、狭くて。

今は現場に3人立ってやったりしてるんですけれど、実際3人でも狭いんですよね。だから、場所が狭くなれば、居心地がいい空間っていうウリがなくなってしまうなと思って、もっと広いスペースを用意しなきゃ駄目だと思ったので早めに動きました。

――1店舗目と2店舗目で何か違いがあるんですか?

北原:今度のサロンは、全部屋個室になってます。シャンプー台も1個1個独立されてて、個室になってるんですよ。部屋にはテレビもDVDも設置されていて、ゆっくりと過ごせる空間。個室ですけれど広々としてます。

スタッフにとっても、独立するとこんな感じなんだっていうのが疑似体験できる感じになってます。自分の部屋ができるわけですから。

――なるほど、それは楽しみですね。それで2店舗目はいつオープンされるのですか?

北原:2店舗目のオープン日もでき次第です(笑)。っていうわけにはいかなかったんですよね。

お客様が楽しみにしていてくれて、スタッフも楽しみにしてくれているので、日にちを決めてみんなで動いています。それが4月12日です。きっとあっという間に過ぎていくと思います。

お客様とのコミュニケーション

――先ほど商圏を広げようとは思っていないということでしたが。

北原:そうですね。商圏とか立地とか特に気にしていないですね。極端な話、となりが美容室でもいいかなって思っているくらいです。お客様との入り口を全部ウェブからにしているので、店舗は道路沿いであれば問題ないんです。

――それはどういったお考えで?

北原:これまでの美容室の経験だったり、ウェブ集客をやってみての実感ですね。

お客さんが、美容室を選ぶ時の行動って、立地はそんなに大きな要素ではないんですよね。駅チカだからいっぱいお客さんが来てくれるというわけでもないですし。ウェブサイトを作って集客というか、お客さんが訪れるという経験をこれまでもしてきていますので。

それを掛け合わせると、ちゃんとホームページを見てもらって、そこでわかりやすい場所が提示できるのであれば、それこそが店舗戦略っていう感じでしょうか。

――なるほど。実際にディアーズはウェブでの集客をメインにされていて、お客様にも来ていただいているということで実証されていますね。

北原:はい。

――それでは、この流れで集客についても、ちょっとお伺いしたいのですが、これまでどういったお取り組みをされているのでしょうか?

北原:最初に心を込めてホームページを作りましたね。すぐにSEOでの集客は難しいっていうのはわかっていたので、スタート当初はリスティング広告を打ちました。それから、フェイスブックのページを作って。今広告費を払っているのは、リスティングとフェイスブックくらいですかね。

――ホットペッパーみたいなものは使ってないんですか?

北原:使ってないですね。だけど、エキテンというサービスは使ってます。ホットペッパーよりももうちょっと小型のイメージですね。

――そこに登録するのにはお金はかかるんですか?

北原:たしか初期費用で3万円で、月額5千円でした。

――(エキテンを見ながら)いっぱいお客様からコメントが入ってるじゃないですか。

北原:お客様に「もし良かったら感想を書いてください」って言うくらいですね。

――それだけで、こんなにコメントを書いてくれるんですか?

北原:普通に丁寧に言葉で伝えてっていう感じです。「感想を書いてください」って。もしも至らない行動とかがありましたら、書いていただければ当店のみんなでしっかりと受け止めて、改めるようにさせていただきます、みたいなスタンスですね。

――なるほど。

北原:やっぱり、感動してくださるんですよ。おもてなしという部分を徹底して心掛けているので、すごく感動してくれますね。こんな美容室待ってましたとか。

僕が嬉しかったのは「倍のお金を払ってもいいわ」っておっしゃっていただいたり。倍っていうと、3万とか4万になっちゃうんですけれど、払ってもいいわって。

あとは「ディアーズさん以外に髪の毛を触ってほしくないから」って、前髪のカットだけなんですが、7,500円(カット料金)でやらさせていただいたり。

――その他にお客様とのコミュニケーションを図る機会もあるんですか?

北原:オンラインだとインスタグラムとかライン(LINE)ですかね。インスタは完全に無料でやっていて。インスタでスタイルブックみたいにできるじゃないですか。あれで髪質が綺麗になっていったお客様を紹介するって感じでアップしていますね。自然とお客様のお友達もその写真を見てくれているようです。

――すごく流行ってるらしいですね。

北原:めっちゃ流行ってますね。

――あと、ラインはどのように活用されているんですか?

北原:ラインに登録するとキャンセルがあった際に、その日にちをご案内させていただいてますっていう形で紹介していますね。

それ以外には、ディアーズのサイトを見て、いつか行ってみたいなっていう方にも登録してもらって、ぜひディアーズにお越しくださいねっていう。そういうスタンスでやってますね。

――ラインをやろうって思ったのは、何かきっかけがあったんですか?

北原:やれることはなんでもやろう、みたいな感じですね。僕は「トニー北原」の時もそうですし、ずっとメールマガジンをやっていたので、人に手紙を書くっていうのが好きなんですよね。

そういった点では、ラインもかなり近いものがあるんですよね。なので、取り入れれば必ずプラスになるんじゃないかなと思ってやっています。

――「キャンセルが出ました」っていうお知らせ以外にも、ラインに登録された方にはディアーズからのお手紙が届くということですね。

北原:ラインに登録してくださっている方っていうのは2つの特徴があって。ディアーズに来てファンになってくださっている方。それとディアーズにまだ行ったことないけど行ってみたいという方。

ディアーズに来てくださった方には、長野市の美味しいご飯屋さんを紹介したりしてます。「ここに行ってきました、めっちゃ美味しかったですよ」みたいな感じで紹介したりとか。

あとは、髪の毛も綺麗になりました、とかのご紹介。これまでやってみてわかってきたことなんですが、不思議と他の人の髪の毛が綺麗になったとかは、あまり興味が無いっておっしゃるんですよね、ご自身の髪が綺麗になった後だと。

むしろ、長野市の面白い情報をちょうだいっていう方のほうが多いんですよ。

――だいたいどのくらいの頻度で配信しているんですか?

北原:週に3回くらいですね。朝の9時に、昨日とか先週末にどこに行ってきましたっていう感じで。

そうすると、やっぱり長野市の方が来てくださっているので、いい情報ありがとう、みたいな。「私も行ってくるわ」っておっしゃってくださる方もいますし、「ここに行ってみたら?」みたいにアドバイスをしてくださったりとかも。

――なるほど。使えるものはトコトン活用していこうっていうのは北原さんらしいですね。

北原:そうですね。ラインで良いなと思ったのが、これはちょっと盲点だったんですけれど、お客様がラインで直接お礼を言ってくださるんですよ。しかもなかなかの長文メールなんですよ。

ラインで送ってくれると、アプリなので、僕もスタッフも全員が同時に受信できるんですよね。「長野市にオープンしてくれてありがとう」とか。「桑原さんに会えて本当に良かった」とか。みんなで見れるんです。ピコンって。

お客様のそういうお言葉がすごく嬉しくて。ダイレクトに手紙のように送ってくださって。それだけでも、やってた意味があったなと思いましたね。

――それは素晴らしいですね。そういった形でお客様との触れ合いがあるんですね。お客様とのご対応のなかで、他に気にされていることとかあるんですか?

北原:まず、プラスのことをするより、マイナスのことを絶対にしないっていうことを心掛けてます。だからルールのマニュアルがきっちりできているんですけど、プライベートの話は一切しないとか。

僕も美容師になりたての頃、「今日どこ行くんですか?」とか、知らず知らずのうちに、お客様が快く思わない質問を投げかけていたんですよね。「クリスマス、どうするんですか?」みたいな。

――良かれと思って。

北原:そうなんです。良かれと思って聞いてたんですけれど、そういうのは禁止です。基本は。とにかくまずマイナスをなくすこと。

そこから関係を積み重ねていくということを大切にしています。あとは、お客様のご要望をとにかく徹底的に伺うということをすごく意識していますね。

――あらかじめ聞く内容とかも決まっているんですか?

北原:みんなで統一して、ルール化しています。さらに髪の毛をちゃんと綺麗にさせていただいて。

――たとえばですが、お客様は今日来てその日のうちにもう効果を実感できるものなんですか?

北原:実感できる方と実感できない方がいらっしゃいます。たとえば、ダメージだと思っていた方が、それは実はクセだったとか。ご自身がダメージだなと思っている髪でも、実はそれはダメージじゃなくて、くせ毛だったっていうケースがめちゃくちゃあるんですよね。

こちら(施術前の写真)って、お客様からすると傷んでいるって思われるんですよ。でも傷みじゃなくて、クセなんですよ。で、この状態がこうなっちゃうんですよ(右側の施術後の写真)。綺麗ですよね。そういうような違いですね。

カウンセリングで判断して、しっかりと適切な施術を適切な箇所にだけ、適切なタイミングで施して管理させていただく。もちろん今日満足していただくっていうのも大事なんですけど、髪の毛を今後も管理させてくださいっていう姿勢を心掛けています。

――素晴らしいですね。

北原:男性は髪の毛を気にしない方が多いですが、女性にとって髪の毛って本当に命なんだなっていうのがわかるんですよ。髪の毛ひとつで気分が滅入っちゃったりとか。

女性って、デートに遅刻してでも前髪を完璧に決めたいっていうのがあるんですよね。前髪を1ミリ短くしただけで失客しちゃったりとかもあるんですよ、実際。この1ミリなんですよ。そのぐらい、女性にとって髪の毛はやっぱり命なんですよね。

「見て、私の髪。綺麗になったと思わない?」って言う前に「どうしたの?髪の毛キレイになったよね」って言われるらしいんですよ。

そうすると「ディアーズさんに一生お願いしたいと思います」っていう言葉を言ってくださったり、ラインでメッセージをくれたりとか、コメントを書き込んでくれたりしてくださいます。

――お客様との素敵な絆で結ばれていますね。

北原:ありがたいですね、本当に。

北原さんの生い立ちを興味本位で聞いてみました

――ちょっと話が戻ってしまうんですけど、そんなバイタリティあふれる北原さんが、どういう生い立ちをしてきたのかということに興味を持ってしまいました(笑)。美容師を目指そうと思ったのは、どういったきっかけだったんですか?

北原:モテると思ったからですね。

――ストレートですね(笑)。それはいつくらいに?

北原:僕は高校は、岡谷工業高校っていうところに通っていたんですけれど、長野県ではバレーが全国で3回連続優勝している強いところだったんですよ。

――男子バレー?

北原:男子バレーが。やっぱり、それだけ強いと校則がめちゃくちゃ厳しかったんですよ。2ヶ月とか3ヶ月に1回頭髪検査があって、眉毛の下まで髪の毛が伸びると切られちゃうんですよ。

高校生の頃ってワックスを付けだしたりとか、オシャレ感が抜群になってくるじゃないですか。切られちゃうのが嫌で、自分達でちょっとずつ切っていて。そのうち「北原、ちょっと切ってよ」っていう感じになってきて、切っているうちに、これはモテるんじゃないかな?って思いはじめて。

――男子校なんですか?

北原:女子もいましたけれど、僕がいる電気科っていうところは男子だけでした。

――お互いの髪の毛を切り合っているなかでスキルを磨きつつ、これって結構女性にモテるのでは?って。

北原:面白いなって思ったりとか、女性にモテるんじゃないかなと思って、不純な動機から入っていきましたね。

――そうすると、高校を卒業してから専門学校に行かれたんですか?

北原:はい。専門学校に行きました。

――それでモテたんですか?(笑)

北原:びっくりするぐらいモテなかったです(笑)。

――(笑)。 はい、ちょっと校則が厳しい高校に行かれた北原さんは、中学時代はどんな学生だったんですか?

北原:中学の前からになるんですけれど、転勤族だったんですよね。

両親が警察官で、やっぱり転勤が多かったんですよ。小学校が4回くらい変わってるんですよね。友達の作り方とかがわからなかったんですよ。

転勤が3回とかになってくると、すれてきちゃって。「またどうせ引っ越すんでしょ?」っていうスタンスで学校に行くので、一匹狼が格好いいみたいな感じの時があったんですよね。

そうしたらやっぱり友達ができなくて。そのまま中学校に行って、中学校でも結構一人の時間が多かったんですよ。高校でも友達付き合いはあったんですけど、友達と言っても、つるんでる仲間は3人くらいでしたね。全体とつるむっていうのができなくて。そんなに友達が多いような環境では生きてこなかった感じですかね。今の方がお付き合いさせてもらっている方々は多いですね。

――今の北原さんをみているとすごく意外なんですが、自分がちょっと変わったなっていうターニングポイントみたいなことはあったんですか?

北原:美容師をはじめて、僕が当時お世話になった先輩がすごく社交的で。いろいろと無理難題をふっかけてきてくださったりとか、殻を破るような感じで教えてくださったりする方だったんですよ。

僕が入社して2ヶ月の時に、いきなり社会勉強に連れて行くとか言って。「今日はどんな社会勉強なんですか?」って聞いたら「居酒屋でやらかしてしまった時に、鎮火する方法を実例で教えるからね」とか言われて。

「俺がドアを開けてガラガラってやったら、一緒に全力で謝れ」って言われたんですよ。先輩がガラガラってやって、一緒に「すいませんでした!」って謝って、その後「なんだったんですか、あれは?」って聞いたら。

「いや、一緒に謝って欲しかったんだよ」って(笑)。「何をやったんですか?」って聞いたら「酔っ払って、お客さんの傘立てに吐いちゃった」って。「それを一緒に謝る社会勉強を今回は体験してもらいましたっ!」とかって。

そんなこともありましたが、その先輩はいろんなところに僕をどんどん連れて行ってくれて。それで喋ることが好きになっていったりとか、いろいろな方にお会いしたいなと思ったり。僕は結構、人に恵まれていますね。今もそうですね、いろんな人に導いてもらっているという印象が強いです。

――なるほど。そうすると中学生の頃、すれていた北原少年というのは?

北原:いや、まだまだ居続けていますね、やっぱり。まだまだ自分自身、成長していかなきゃっていつも思っています。

――素晴らしいですね。ご両親との関係はどうなんですか?お父さんが厳しいと伺ったことがありますが。

北原:厳しいですね。僕は小学校でそんな性格だったので、いじめられちゃった時があったんですよ。

席替えの時に僕のとなりが嫌だから、あみだくじが仕組まれて一人のところに座らされてしまったりとか。給食が僕だけ無かったりっていうのもありました。

それを親に言ったら、「それはお前が悪い」ってひと言で片付けられました、父親には。子供心にも、この人に相談しちゃ駄目だと思いましたね(笑)。

――厳しい親父像が。お母さんは?

北原:おふくろは、すごくおおらかですね。そういう父親の横にいる人間だからかもしれないですけれど、とても柔らかい感じですね。

人からはお母さん面白いねってよく言われます。ひょうきんですね。宇多田ヒカルのオートマティックを踊ったりとか(笑)。風の谷のナウシカの大婆様みたいで、「その者蒼き衣を纏いて」とか、あれを復唱できるんですよ。そんな感じの人です。

僕は多分、父親の真っ直ぐなところと、母親の面白いところが掛け合わされてるのかなって思ったりします。

――素敵なご両親ですね。今はお近くにお住まいなんですか。

北原:そうですね。感謝もしてますし。

――今はすごく良好な。親孝行できてるかなと。

北原:できてるんじゃないかなと。アフィリエイトをやって、僕が美容室を作れたおかげで、両親が仕事をやめられたって言ってくれましたし。安心して。

(北原さんからお父様とのツーショット写真をご提供いただきました)

 

――そんな北原青年のこれからの人生の夢はなんですか?

北原:人生の夢はずっと前から決めているんですが、人の背中を押せる講演家になりたいんですよ。

僕が今まで、今日もそうですし、ずっと毎日そうなんですけれど、誰かに背中を押してもらえることによってここに立てていますし。ウェブサイト作りもそうですね。ヒデの兄貴をはじめ、こば先生にもすごく背中を押してもらいましたし。「できますよね」っていう言葉をかけてもらったりとか。スタッフに背中を押してもらうこともありますし。

だから、僕は誰かの背中を押したいってすごく思うんですよ。それが自分の言葉だけでできたら、無から生み出せるじゃないですか、勇気が。それってすごいなと思っていて。そういうふうになりたいと思ってるんですよ。

そのためには、自分は今までこんなことがあったけど、乗り越えてきたっていう背景が必要だと思っているんです。だから、荒波ある人生をちゃんと送って、乗り越えていきたいと思っています。

あまりにもストンってうまくいくのも、勇気を与えられないじゃないですか。業績が厳しいです、伸びてないです、っていう状況だけど、ここでスタッフと踏ん張ってやったからこそ切り抜けたんですって。

これは実際にあった話なんですけど、駐車場の問題が出てきて。周りの企業に「駐車場を貸してください」ってお願いしたり、月極駐車場が空いてるのに貸してもらえなかったんですけど、たまたま出会ったスタッフのお父さんが権力の持ち主で駐車場を一瞬で借りられちゃったりとか。

そういう波乱万丈のストーリーを語るために、今いろんなことに挑戦してます。だから、挑戦するしかないんですよ。「挑戦することによって、その挑戦が将来会う誰かの背中を押せるんじゃないかな」と思っています。スタッフにも挑戦してもらいたいと思ってるんです。リピート率100%に挑戦してもらいたいと本気で思ってるんです。

――最後のいい締めでしたね。

北原:ありがとうございます。ディアーズさんのスタッフってすごいパワーがありますよねとか、誰かに勇気を与えられるエピソードをみんなが持ってますよねっていうのが、うちのグループの目標です。

インタビューを終えて

「長野に行きます!インタビューさせてください!」ってお願いしたら、快く受け入れてくれて、当日は北原さんとスタッフの桑原さんと一緒に美味しい信州そばをご馳走になって、その後「ディアーズ」に伺いました。

長野は東京より5度くらい冷え込んでいて、雪がちらついていました。

笑い声が絶えない、あっという間の時間。今でもこのインタビューを読み返すと心が暖かくなります。今度は夏の長野にも行ってみたいですね。そのときはディアーズの新店舗と牛に引かれて善光寺に参りに行こうと思います。

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