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「取材」をもとにしたコンテンツ制作の手順まとめ

アルケー編集部

今回は、コンテンツ制作における「取材」を行うということについて、触れたいと思います。

取材という言葉はインタビューなどを想像しがちですが、広い意味ではインタビューを含めた、「原稿の材料を集めること」を指します。図書館で調べものをすることなども、広義では取材の一種だということです。

どんなに優れた料理人も、腐った食材では美味しい料理がつくれないように、どんなに優れたライターでも、適切な材料なしに効果的なライティングをすることはできません。逆に、平凡な腕前の料理人でも、優れた食材があって素材の味を生かすことができれば、それだけで美味しいものが出来上がるように、取材が成功すれば、もう原稿は成功したと言っても過言ではありません。

ライティングの力を高めることは一朝一夕にはできないのに対し、取材を行うことでコンテンツの質を高めることは比較的すぐにできます。そうやって良いコンテンツをつくっているうちに、ライティングの力は後からついてきます。ですので、コンテンツを自分で書こうとしているけれども、ライティングの力には自信がない人というは、取材に力を入れると良いでしょう。今回は、取材の手順や方法論を整理しました。

取材の方法

広義の取材にはいろいろな方法がありますが、それぞれに一長一短があります。以下に、代表的な取材の方法と、そのメリット・デメリットなどを整理しました。

取材方法 メリット デメリット
インタビュー(人に聞く) ・ユニークな情報が手に入りやすい ・対象者を見つけるのに苦労することもある
・コストがかかる場合がある(謝礼や、アポの調整の手間など)
・対象者から要求される原稿チェックなどの対応が必要
・インタビュースキルが必要
紙媒体で調べる(書籍・雑誌・新聞・学術論文) ・情報の正確性が高い
・整理されていて理解しやすい
・すでに既知の情報しかない
ネットで調べる(WEBサイト・SNS) ・無料で簡単に入手できる
・ナマの「気分」や「雰囲気」を感じられる
・情報の正確性が保証されない
統計情報を調べる ・ユニークな仮説を立てるのに適している
・情報の正確性が高い
・読みこなすのにある程度の知識・技術が必要
・コストがかかる場合がある(調査会社から購入する場合など)
アンケート調査を行う ・ユニークな情報が手に入りやすい
・ナマの「気分」や「雰囲気」を感じられる
・多額のコストと時間を要する
・設計に失敗すると適切な情報が得られない

こうした取材方法の中から、つくりたいコンテンツに応じて適したものを選択します。複数の方法を組み合わせても構いません。何を選ぶかは予算やスケジュールといった周辺状況も関係しますが、どのようなコンテンツを制作したいのかという点がもっとも大事な基準になります。

前述のとおり取材方法によって得られる情報の性質が違うため、それをもとに制作できるコンテンツの方向性が変わってきます。取材方法ごとに「守備範囲」があるのだと考えるといいでしょう。

それぞれの取材方法から得られる情報の性質は以下のようなイメージでマッピングすることができます。

横軸は、プロの視点からの情報提供、専門性や権威性を持たせたコンテンツであるのか、素人の視点、一般人目線での共感性を持たせたコンテンツであるのか、という軸です。縦軸は、スペックまとめなど客観的に情報を整理したものか、主観的なレビューであるか、という軸です。どのようなコンテンツを目指すのかを考えて、取材方法を選択します。

インタビュー取材の進め方

前述したように、広義の取材にはさまざまな方法がありますが、中でも「インタビュー(人に聞く)」という方法は、得られる情報の性質が非常に幅広く、ユニークな情報を得やすいという意味ではもっとも効果的です。一方で、相手があるがために、なかなか簡単にはできないものであり、特有のテクニックも必要とされます。

以下では、インタビュー取材について、その具体的なやり方を、順を追って見ていきましょう。インタビュー取材は、おおむね、次のような手順で行います。

  1. 取材先(インタビュー対象)の選定
  2. 取材依頼
  3. 事前準備
  4. 取材
  5. 原稿作成後の対応

順を追って、詳しく見ていきますが、ふたつ、おことわりがあります。

まず、以下にまとめたものは標準的・一般的な手順であって、絶対にこれが正解であるということはありません。ベテランの編集者やライターは、独自の取材スタイルを持っているものです。ここにまとめたのとは別のやり方で長年、問題なく仕事をされている方もおられるでしょうから、最終的には自分なりのやり方・スタイルを見つけてゆかれるのがよいと思います。

次に、今回は、インタビューそのもののコツやスキルについては触れません。それについては、単独で一冊の本が書けるほど奥が深いものですし、事実、そのような本もたくさん出版されていますので、ここでは、作業手順を整理してお伝えするにとどめます。

取材先(インタビュー対象)の選定

インタビューは、まず、誰にインタビューをするのかを決めるところから始まります。当然、誰でもよいということはなく、企画に照らして、ふさわしい人選が求められます。一口にインタビュー対象と言っても、コンテンツ上でどのような役割を担うのかによって人選の方向性は異なります。

前掲の、得られる情報の性質をマッピングした図を見返していただければ、インタビューによって得られる情報の「守備範囲」は広いことがわかります。この範囲内でも、どの方向に寄っているか、インタビュー対象によって違いがあるわけです。

具体的には、マッピングの横軸である、プロ←→素人という観点で見たときに、「テーマについて詳しいかどうか」で人選すべきです。プロ的な視点のコンテンツほど、テーマについてきちんと詳しい人が対象として求められます。

もうひとつの観点として、コンテンツとして完成したときの、アピール力や、信頼性という点では、インタビュー対象が「有名であるかどうか」という軸も有効です。

この「テーマについて詳しいかどうか」×「有名であるかどうか」という掛け合わせから、取材対象は大きく4つの方向性があると考えられます。

専門家=有名であり、テーマについて詳しい人

この人にインタビュー取材をしてみたい、と思うのは、第一にこのタイプの人だと思います。テーマについての情報を引き出せ、かつ、本人に知名度があることで、非常に価値の高いコンテンツをつくれることが期待できます。半面、取材に応じてもらえるハードルは高いです。多忙であるためアポイントをとるのが難しいこともありますし、取材させてもらうのに費用がかかることも少なくありません。

マニア=有名ではないが、テーマについて詳しい人

本人は特に有名ではないが、取材するに足る情報を持っている人ならば、取材対象としては有益です。「なにかにすごく詳しい一般人」などです。そもそもそういう人を探し出すのが困難であることがデメリットなのですが、最近は、ネットを活用することで、だいぶ探しやすくなりました。しかし、有名人である専門家ほどの、読者に対するアピール性や信頼性はなくなってしまいます。

タレントレポーター=有名だが、テーマについて詳しくない人

テーマについて詳しくない人を取材する意味があるのか?と思われるかもしれませんが、本人の有名性自体に価値を置く形で、登場してもらうという取材企画もあります。CMタレントやイメージキャラクター的な意味合いです。例を挙げると「タレントの○○さんに、商品を試してもらいました!」みたいな形の企画がそれで、タレント目当てのユーザーの流入を期待できます。

読者代表=有名でなく、テーマについて詳しくない人

有名人でもなく、テーマにも関係しないまったくの一般の人に対しては、まさしく「一般人代表」という切り口での取材が可能です。「読者による体験レポート」のような企画になり、おもに共感にうったえるようなコンテンツに向いています。

応用編~複数の取材対象をミックスする

応用として、複数の取材対象をミックスしてつくる企画もあります。具体例として、グループコンサルでアドバイスしている、外壁塗装の一括見積サイトのコンテンツをご紹介します。

外壁塗装110番|外壁塗装の見積もりチェックポイント

外壁塗装をしたいユーザーが、訪問販売をしている悪徳業者などから提示された見積書を、プロの塗装業者がチェック・解説するという趣旨のコンテンツです。

この場合、ユーザーは「読者代表」の立場で、そのユーザーから取材した内容(訪問販売での見積もり)に、プロの外壁塗装業者(「専門家」と「マニア」の中間的なポジションと言えます)の取材内容(プロの知見で見積もりをチェックしてもらったもの)を加えて、コンテンツとしています。

このケースの場合、ただ見積書だけ掲載していてもコンテンツとしての有用性には欠けますが、プロの塗装業者が解説するという観点で付加価値をつけることができ、有益で面白いコンテンツになっています。

取材対象はどう探す?

探したい取材対象の方向性を定めたら、人探しに入ります。有名な人は、有名であるので、探すこと自体に苦労はしません。芸能人ならタレント名鑑もありますし、専門家のような人なら著作から探すこともできます。

探すのが難しいのが「有名ではないが、テーマについて詳しい人」で、人づてに探すとか、ネットなどで募集をかけるか、などしかないでしょう。できれば日ごろからアンテナを広げて、取材先情報をストックしておけるとよいと思います。

「有名であり、テーマについて詳しい人」を探したいとき、芸能人などは、有名であることは明らかだけれど、テーマに対する詳しさがわからないことがあります。「○○について詳しい芸能人」にインタビューしたいが、誰がそうなのか知らない、という場合です。これは過去に存在するテレビや雑誌のインタビューなどで語っていた、などの手がかりから探すしかなく、この意味でも、日ごろからテーマに関する情報を広く集めておく必要があります。

取材依頼

取材対象を定めたら、取材を依頼します。企画にぴったりな取材対象がいても、取材に応じてもらえなければ元も子もありませんので、依頼は重要です。ポイントは「誰に」「何を」「どうやって」伝えるかです。

取材依頼は「どうやって」?

雑誌の記事では、まず電話をかけ、依頼したい旨を伝えてから、FAXで企画書(取材依頼書)を送る……というのが一般的でした。昔はメールで取材依頼するなんて非礼だという空気がありましたが、最近はむしろ電話のほうが避けられるくらいです。メールを送ることから始めてもいいでしょう。今は紙媒体でもそうしていると思います。

それでも、電話をかけてしまうのが早い場合もありますし、時には、物理的に手紙を出す、というのが効果的なこともあります。取材依頼のアプローチ方法は、原則として失礼でなければなんでもいいと言えます。

取材依頼は「誰」にするのか?

取材依頼は、取材対象本人に行うのが当然と思われがちですが、場合によってはそうでもありません。

まず、芸能人は、たとえ本人がブログをやっていたりTwitterアカウントを持っていたりしても、本人に直接、依頼すべきではありません。マネジメントを担当している事務所に連絡します。芸能人と言いましたが、正確には「マネジメントを担当している事務所があるならそこに連絡すべき」ということで、目安としては、テレビによく出ている人はどこかの事務所と契約している可能性が高いです。

企業や大学など、組織に所属している人に取材依頼する場合も、その組織のほうに連絡したほうがいいことがあります。ただし、所属組織の肩書が必要ない取材なら本人に連絡したほうが適切です。たとえば、あるIT企業でWebサービス開発をしたAさんに、サービス開発について取材したい、とかであれば、企業に連絡して、「御社のAさんに取材したい」と言います。Aさんが、趣味でプラモデルについて詳しく、モデラーとして取材したいのなら本人に直接連絡してもいいでしょう。しかし、モデラーとしての取材であっても、「○○社のAさん」として登場してもらいたいなら、企業に連絡するか、もしくは後で企業にも原稿チェックを依頼したほうがいいかもしれません。ちなみに、企業を通して依頼する場合、一般的にはその窓口は「広報」になります。

著作がある人であれば、著作の出版元に連絡して、「『○○(著作)』の著者の○○さんに取材をしたい」という形で依頼をすることもあります。これはそうしなければならないというより、ひとつのテクニックで、出版社を通すことで取材に応じてもらいやすくなるからです(出版社にとって、出版物の宣伝になる可能性がある、というインセンティブが働くため)。この経路で取材した場合は、当該の著作を記事中でも紹介するなどの(出版社に対しての)配慮が必要です。もちろん、著作とまったく関係のないテーマでの取材では使えない方法です。

取材依頼で「何」を伝えておくべきか?

取材依頼では、以下の内容を先方に伝えておきましょう。

媒体名 雑誌なら雑誌名など、最終的に取材の結果が「何」に載るのかということ。雑誌の場合、必要に応じて見本誌を送ることもありました。Web媒体ならURLをお知らせすればOK。
企画趣旨 企画内容を伝えます。対象にどのような立場で登場してほしいか、何について話してほしいか、なぜ対象に取材したいと考えたか、などが伝わるとよいでしょう。
取材方法 インタビューは対面が基本ですが、場合によって電話インタビューやメールなどで書面インタビューにしたいときもあります。また、聞いた話を直接原稿に起こすのではなく、企画や原稿の「監修」という形で協力してもらうという方法もあります。対面でない場合は方法の希望を伝えましょう。
取材日時と取材時間 日時は先方の都合が優先ですが、こちらの都合としていつまでに取材をしたいなどの希望を伝えます。合わせて、取材に要する時間を伝えておきます。
取材場所 場所の希望があれば伝えます。
だいたいの進行スケジュール 取材可否の返事はいつまでにもらいたいか、取材した場合、その後のだいたいのスケジュールを伝えておくとスムーズです。たとえば雑誌であれば記事が掲載される号の発売日などは、芸能人であればプロモーションの都合で事前に知りたいでしょうから、伝えておくとよいでしょう。
撮影の有無 取材時に、撮影を行うかどうかは、必ず事前に伝えておきます。
謝礼について 謝礼が生じるのか、あるなら金額は、などを提示します。
当日、用意してもらいたいもの 当日は(撮影の都合で)こういう格好できてほしいとか、事前に準備が必要なことはあらかじめ伝えておきます。

これらの情報は、先方がこの取材を引き受けるべきかどうかを判断する材料になります。そのため、あらかじめ提示しておくのが親切ではあるのですが、一方で、最初にいきなり、詳細で長大なメールを送るのも考え物です。

そこであえて、最初のメールは打診程度の内容で、いくつかの情報については、先方の様子を見て後から伝えるという方法もあります。

事前準備

取材を引き受けてもらえたら、当日までにその準備をしておきます。と言っても、特に準備が必要でない場合も多いでしょう。ありうることとしては、以下のようなことが考えられます。

場所の確保 先方の指定場所にうかがうのでなければ、場所が必要です。こちらに事務所などがあればいいですが、そうでなければ外部に確保します。撮影や録音の都合を考えると、カフェなどは避けたほうがいい場合もあるので、貸し会議室やホテルなどをおさえます。録音・撮影しないならカフェでもいいので、「取材に使いやすい店」をストックしておくとよいです。
撮影の準備 凝った撮影をする場合はカメラマンなどの手配や、スタジオの確保、場所によっては下見や撮影許可の手続が必要です。
対象に関する情報収集 著作のある人なら、事前に著作を読んでおくのがいいでしょう。テーマに関係があればもちろんですし、そうでなくても話のきっかけになります。まったく読んでないことを失礼と感じる人もいるのでリスクヘッジの意味もあります。ほかに、最近のメディア露出をチェックしておくとよいと思います。
先方または関係者と打ち合わせ 事前に質問項目を送っておくことなども含め、企画内容について理解を深めておいてもらうステップを踏んでもいいと思います。

もちろん、取材内容(どんなことを話してもらうか)は準備をしておきます。取材時間は有限ですし、忙しい相手だと、わずかな時間しかもらえないこともあります(芸能人だと、本当に数分間しか許されないこともまれではありません!)。せっかく取材したのに、必要な情報を聞き出せなかったり、テーマと関係のない雑談に終わってしまったり、などということのないようしたいものです。

質問項目を箇条書きでまとめておくとか、手元に「アンケート用紙」のイメージで準備しておき、当日はその項目を埋めていくように話を聞くと、漏れがないでしょう。

取材

取材当日は、インタビューそのものに集中できるのがベストです。そのために、ここまでにきちんとした準備をしておくことが大切なのだと言えます。

多くの人は録音をすると思いますが、対象者には録音されることを好まない方もいるので、念のため許可をとってから録音します。ただし録音は事故的に失敗することもありますし、録音に頼りすぎるのもよくありません。メモを併用し、どちらかというと自分の記憶を頼りにします(プロのライターには保険として録音はするけど、音声を聞き返すことはほとんどない、という人もいます)。

原稿作成後の対応

取材をもとに作成した原稿は公開前に先方に確認するかどうか、という問題があります。これはどちらかと言えば確認したほうがいいでしょう。一般的な感覚だと、むしろ確認しないなんてことが許されるのか不思議に思うかもしれませんが、新聞など、媒体によっては確認は行いません。

ただこれは報道の自由という観点からの慣例ですので、一般のメディアでは、礼儀のうえでも、また、誤りを防ぐうえでも、確認してもらったほうが無難だと言えます。

問題になりがちなのが、このとき、取材対象の方から過度な要求を受けてしまうことです。取材の趣旨と異なる内容や、企画を損なうような内容を書くように要求されたり、テーマ上重要な箇所を、取材では話していたけれども、書くのはやめてほしいと言われることがときどきあります。

これはコミュニケーションの問題ですので、絶対の解法はありませんが、
・事前に企画趣旨と掲載イメージの共有をしっかりとしておく
・当日に、微妙な点については書いてもいいことの確約をとっておく
というのが一応の対処法になるでしょう。

無事、確認がとれ、記事が公開できたら、お礼とともにURLをお送りしておきましょう。雑誌の場合も、掲載誌をお送りするのが普通です。

まとめ

以上が、インタビュー取材の基本的な手順になります。難しそうに思えますが、一度、経験してしまえば、ひとつのルーティンに落とし込むことも可能です。取材依頼のメールなどはテンプレを作成しておけば、その後の取材依頼が効率的に行えます。

個人で運営しているWeb媒体では、わざわざ取材を行わないことも多いと思います。しかし、そうすると、いつまでも自分の中にあるものだけでコンテンツをつくり続けることになり、いつか限界が来るものです。取材を行うことで、自分一人ではつくれなかったような、ユニークで、新鮮なコンテンツがつくれるでしょう。

質の高いコンテンツを制作するひとつの方法として、「取材をする」という選択肢があることを知り、必要に応じて取り入れていかれることを、おすすめしたいと思います。

 

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