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「このサイトのSEO、よろしく」と言われたら…
あなたがもし、まったく馴染みがないサイトのSEO担当者になってしまったら、まず何をするだろうか。
私は、SEOの施策を進める上では「当該ジャンルの市場を把握することが大切」と考えている。そのため、始めに行うべきは「市場に関するリサーチ」であり、常にそこからスタートしている。そこで今回は、私が実際にそのような状況に置かれたとき、どのような対応をしているかをお伝えしたいと思う。
私が実際に行っている市場分析の方法
以前私は、「自動車保険」「引越し」など複数ジャンルのサービスサイトを運営していたが、ここでは「引越し」を例にとり、キーワードを切り口としたリサーチ方法をご紹介する。
複合語分析
複合語によるユーザーニーズの把握
「引越し」をメインワードとし、
「引越し+手続き」
「引越し+見積もり」
「引越し+料金」
「引越し+地域名」など
これらは「Google Adwords キーワードプランナー」などのキーワードツールから得られる複合語のキーワード群であり、ユーザーによって検索された「知りたいこと」「行動を起こしたいこと」などが複合語として現れる。
類語分析
「引越し」を言い換えるとしたら、どのようなキーワードが想定されるか
「引越し」がメインワードの場合、
「引っ越し」「引越」などの表記ゆれ
「転居」「移転」「引越し会社名」など
ここでは、「『引越し』というキーワードを使わずに『引越し』を表現するキーワードはないか?」という視点で考えていく。類語辞典などを利用することで、発想が広がっていく。
トレンド・季節要因分析
時代の流れを汲み、想定されるキーワードをリサーチ
「引越し 3月」「引越し ゴールデンウィーク」
「100円引越し」「消費税増税」など
トレンドや季節要因を考慮し、キーワードをピックアップしてみるとよい。
このような3つの観点からキーワード群が得られたら、当該ジャンルの購買プロセスを参考にしつつ、後ほど説明するマインドマップにプロットしていけばよい。

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【参考】購買プロセスの変化
n1303080_s (出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(2011年)
まずは頭を柔らかくし、発想を広げ、キーワードを拾い集めることに注力しよう。グルーピングにおける上位概念と下位概念の階層化、想定検索ボリュームにおける重み付けを行なっておくと、その後の企画やコンテンツプランニングを進めやすくなる。
ちなみに、先に紹介した手法のほかにも市場分析に役立つアプローチ法は多数存在する。これらを組み合わせれば、分析の精度をより一層高めることができる。
- キーワードツールを活用
- リスティングのデータを活用
- プロジェクト関係者(当該市場の有知識者)からのヒアリング
- 「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」などのQ&Aサイト
- 当該ジャンルに関連するキーワードの検索結果から、ランクインしているサイトを閲覧
- インターネット上に公開されていない情報(書籍・雑誌など)を活用
- オフラインの各種イベントなどの情報
- ブレインストーミングを実施
マインドマップを活用してプロジェクトを円滑に進める
下図は、実際に私が作成したマインドマップだ。
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「引越し」のキーワードマップ
マインドマップは、追加や修正が簡単なので、プロジェクトの進行とともに容易にブラッシュアップすることができる。また、最初から完璧に作る必要がないところも利点と言えるだろう。
このように、当該ジャンルに関するキーワードを1枚のマインドマップにまとめておくと、プロジェクト関係者と打ち合わせをする際にスムーズに進むことが多い。明確にわかりやすくまとまっていることで、担当者自身の信頼度アップにもつながる(かもしれない)ので、ぜひ有効に活用していただきたい。
最後に
多くの企業では、インハウスSEO担当者が受け持つサイト(ジャンル)はある程度限られていることと思う。しかしながら、当社のように複数のサイトを運営している企業では、ひとりのSEO担当者が複数のサイトを受け持つケースも考えられ、それぞれのジャンルにあまり精通していないということもありえる。
そのような場合は、この記事でご紹介したような手法を用いて、まずは「市場の全体感」を把握することをおすすめする。情報をきちんと整理して考えられる状態にしておけば、実際の市場規模や特性などを深く理解するのに役立つはずだ。